猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

調べたこと・考えたこと

続・システマティックインストラクションについて

以前にシステマティック・インストラクションについて調べた記事を書いたとき、システマティック・インストラクションが日本語では「最小限の介入による指導」のプロンプトの階層を示す言葉のように扱われていることを指摘した。 nekomosyakushimo.hatenablo…

地域データいろいろ

地域の政策とかデータとかを調べる必要があって色々触って見た覚書など。 地方創生に向けた取り組みなど 地方ごとに地域版の総合戦略というのを策定するのが努力義務であるらしい。各自治体で公表している。政策へのリンクは以下のページにまとめられている…

社会的妥当性について

社会的妥当性とは 社会的妥当性(social validity)という言葉がある。これは大雑把に言ってしまえば、応用行動分析学研究で実施される介入プログラムが社会的に容認されるかについて、介入によって実際に利益を受けるメンバーに評価させようという考えであ…

自閉スペクトラム症と視覚的探索課題と

視覚的探索課題(visual search task)をASD児者対象に行った文献についてのメモ。抄録読んでパラパラと図表を眺めただけのものがほとんどだけど。 Plaisted, O’Riordan, & Baron-Cohen (1998) 直接的なのはこれが最初かな?特徴探索と結合探索で、ASDは結合…

システマチックインストラクションに関して

ジョブコーチや職リハ界隈で名前は聞くのだけれど、どういう出自を持つのか知らなかったのでネットで見れる文献を中心に調べてみた。 『職業リハビリテーション』の論文より 『職業リハビリテーション』というジャーナルに「ジョブコーチの援助技術―システマ…

因子分析について

心理尺度のつくり方作者: 村上宣寛出版社/メーカー: 北大路書房発売日: 2006/09/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (5件) を見る上記の本に次のような記述がある。 因子分析は半世紀の歴史を持つが, 変量が1…

シェムとシェマについて

発達心理学について勉強するとシェマという言葉を必ず学ぶ。ところが、最近ピアジェについて勉強し直す中で、ピアジェはシェム(Schéme)という用語とシェマ(Schéma)という用語を厳密に使い分けていることを知った。英米の研究者がピアジェを英訳する際に…

体罰に関して

体罰に関してあれこれ話をする機会があった。今でこそ表立った(?)体罰というのは教育現場で少なくなっているのだろうが、一部の運動部であったり、言葉のない知的に重い障害児教育の現場などでは、体罰の効果を信じている人を見たりもする。体罰に関して…

自閉症の遺伝的関与に関する初期の研究

今では自閉スペクトラム症に遺伝子が関与していることはよく知られているが、下記リンクはその初期における重要な研究。少なくとも片方が自閉症の診断を受けている幼児期の21組の双子が研究の対象となった。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111…

広い自閉症表現型について

以前少しだけ書いた広い自閉症表現型(Broader Autism Phenotype:BAP)について調べ物をしていたら、素敵なものを見つけた。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/9781118911389.hautc02よくわからないがフリーアクセスである。ふとっぱらだね。BAP…

IQの絶対値的な解釈

「〇〇をするにはIQ▲▲以上必要」みたいな文言、すなわち、IQを絶対値のように扱っている人に出会うことがある。よくってほどではないけれども、忘れていたころに「あぁ、またか」といった具合で出会う。知能指数、IQ(=intelligence quotient)というのはシ…

感覚統合訓練って効果あるの?

少し前に友人と感覚統合系の人たちはバランスボール好きすぎじゃないか問題について話をした。それで、感覚統合系の業界での評価がどんなものなのかが気になり調べて見た。日本語で読めるものでまず出て来たのがこれ。2006年とやや古い。ci.nii.ac.jp13件の…

集団随伴性について

仕事の都合で集団随伴性について調べ物をした。個人ではなく、集団でのパフォーマンスについて強化が随伴することを集団随伴性と呼ぶ。ベイリーとバーチの『行動分析的"思考法"入門』には、集団随伴性が良い行動・良くない行動のどちらも産み出すことが紹介…

Broader Autism Phenotypeについて

Broader Autism Phenotypeという言葉を知った。Phenotypeというのは表現型と訳され、遺伝とかの研究の文脈で使われることが多い言葉である。生物に実際に現れる性質や形質のことを指す言葉で、遺伝子型と環境の相互作用によって表現型が決まるとされる。同じ…

ABC分析についての話を終えて

先月、ABAの基本的な知識について療育や保育の場で働いている方々を対象に話をする機会をもらった。このネタ自体は以前にもやっていたので2度目だったが、話の後の質問や対象者の問題関心から、次に同じテーマで話すとしたらいくつか補足しないといけないと…

PDFの表をエクセルに取り込む

手元に大量というほどでもないのだけれど、手作業でやるにはちょっと時間がかかるデータがあって、今後何かで必要なこともあるだろうと機械にやらせる方法を調べ、そして苦戦した備忘録。macOXでエクセルはExcel for Mac 2011でやっています。まず、PDFをエ…

学校外部から特別支援に関わる人の立ち位置は

石隈先生の『学校心理学』という本の中に次のような図がある(p.111)。これは学校臨床心理学というものを提唱している近藤先生が、援助サービスを援助者の位置(被援助者が属する社会との関係性)と援助の方法(直接性)の2つの軸で整理したものである。本…

運動誘発盲

運動誘発盲(motion induced blindness)と呼ばれる現象がある。百聞は一見にしかず。次のサイトの画像を見てみると良い。Motion-Induced Blindness真ん中の点を注視し続けると周りにある物体が忽然と消えてなくなってしまうのだ。 なにこれこわい。

ダブルフラッシュ錯覚

ダブルフラッシュ錯覚というものがあるそうだ。これは、短時間点灯する光刺激に合わせて2回短い音を鳴らすと、実際には1回しか点灯していないのに点滅しているように感じられるものらしい。flush-beep illusionとかsound induced illusionと言う風にも呼ば…

続・クロンバックのα

前回の記事で全ての折半法の平均がクロンバックのαであるということについて書いた。nekomosyakushimo.hatenablog.com 今回は、内的整合性の意味をより理解するためにデータをいじって遊んでみる。内的整合性とは乱暴に言えば、テストの中の項目がどれだけ同…

クロンバックのαについて

友人からクロンバックのαについて質問を受けてあれこれ調べたことの記録。クロンバックのαとは信頼性係数の一つで内的整合性を表すものだとされている。テキストなどには信頼性係数の推定には(1)再テスト法、(2)平行テスト法、(3)内的整合性などがある…

UDLについてのアレコレ

(追記:なぜか「学びのUDL」と書いていましたがそれじゃlearningが重複していましたね。正しくはUDLもしくは学びのユニバーサルデザインです。)UDLという言葉がある。これはUniversal Design for Learning の訳語で、その意味するところを簡単に書くなら、…

世論調査と誤差

NHKの世論調査で各党の支持率が公表されていた。www3.nhk.or.jpNHKのサイトによれば、NHKの世論調査の標本サイズは3600人だそうである。世論調査の手順 - 調査相手の抽出 | NHK放送文化研究所3600人の抽出調査に対して誤差の範囲が次のように紹介されている…

日本版WISC-Vは今

ブログへのアクセスを見ると、WISC-Vの動向が気になる人が多いようで、英語で書かれた資料をまとめた次のページへのアクセスが多い。nekomosyakushimo.hatenablog.com 日本語版の開発状況がどうなっているのかというと日本文化科学社のサイトに次のようなペ…

LD学会所感

10月7日から9日の間に宇都宮で開催されたLD学会に参加してきた。きれいなまとめや読者に有益なまとめなどは目指さず(というか私には出来ませんし)、拡散した思考を書き散らかしておく。親の会のシンポ、ローラクリンガー先生による特別公演、内山先生によ…

必要なサンプルサイズの大きさは(実験編)

前回の記事で、調査を行い母集団における比率を求める際に、誤差を任意の範囲内に収めるための計算について書いた。比率については、 の式の、Eの部分に収めたい範囲の誤差を代入すると求まることが分かった。式の上では理論的に求まったものの本当にこれで…

必要なサンプルサイズの大きさは

先日社会調査に関連した話の中で、「完全に無作為抽出が達成されてたとしたらサンプルサイズがどれくらい必要か」についての話になった。「今の首相を支持するかどうか」のようなシンプルな比率の調査をする際にどれくらいのサンプルの大きさがあれば信頼に…

二項分布の4次のモーメントの導出

前回までで3次のモーメントをやったんだから次は4次だろう(安易)。nekomosyakushimo.hatenablog.com nekomosyakushimo.hatenablog.com 原点まわりのモーメントの導出 まず、モーメント母関数を3回微分したのものがこちら。 これを、(大変に面倒くさいけど…

続・二項分布の3次のモーメント

前回の記事で、モーメント母関数を用いた二項分布の3次のモーメントの導出について書いた。今回は、二項分布から抽出したデータの分布を実際に見ながら3次のモーメントと分布の形にについてみてみる。Rのデフォルトの関数には、歪度を計算するものはないらし…

二項分布の3次のモーメント

統計学の教科書において確率分布を紹介するときに2次のモーメントまでしか載っていないことが多い。モーメント母関数を用いれば、何次のモーメントでも求めることができるので、何の役に立つかは分からないが、ここでは二項分布の3次のモーメントを求めてみ…