構造化について
ここのところ何冊かTEACCH関連の本を読み、自分が支援を行うときにもかなり参考にしている「構造化」について、自分なりの言葉でまとめてみようと思います。読んで理解したつもりになっていても、説明しようとすると存外分かっていないことって多いですし。あと、ブログのタイトルにもなっていることですし。
ちなみに、わたしは別に構造化について特別な訓練や教育を受けたことがあるわけではないアマチュア中のアマチュアなので、間違った理解があるやもしれませんが、そうした場合にはコメント欄でやんわりと教えていただけるととても助かります。
構造化ってそもそも何ですか。
構造化とは、自閉症スペクトラム(ASD)がある人に対して、周囲の環境を分かりやすく理解できるように行う環境調整のことです。
構造化がなぜ必要なんですか。
ASDの人は定型発達の人とは違った仕方で周囲の環境を捉えることが多いです。そのため、定型発達の人にとっては当たり前のこと・説明しなくとも分かることが分からず混乱を来したり、活動にうまく参加できないことが多々あります。だから、ASDの人にとって分かるような形で環境調整することで、不要な混乱を避けたり、活動にうまく参加することができるようになります。
具体的にはどんなことをするんですか。
ASDの人は視覚的情報を取り扱うことに優れていることが多いので、場所(空間の意味)・時間(活動の順序)・手順(活動の行い方)など目に見えないものを、見えるように視覚化します。物理的構造化、スケジュール、ワークシステムなどがその代表的なものとして挙げられるかと思います。
物理的構造化って何ですか。
活動の場所と活動内容を1対1で対応させ、その場所と活動を結びつけることです。そして、ある活動場所と別の活動場所が違っていることが分かるように区切りを明確に示すことです。例えば、特別支援学級でリラックスできるコーナーと個別の学習のコーナーと集団での学習のコーナーを、棚やついたてで分けるなどしていることなどはその代表的な例だと思います。別についたてで区切らなくとも、ビニールテープで区切るだけや、色分けしたマットを敷くだけで行う場合もありますし、肝心なのはASDの人が「ああ、あの場所に行けばあの活動をするんだ」と分かるようにすることです。
スケジュールって何ですか。
読んで字の通り1日の活動の順番を示したものです。ASDの人は予期しないことに直面すると恐怖や不安を感じることが多いので、前もって活動の見通しを持てるようにすることが非常に重要です。スケジュールの作り方も一人ひとりの発達水準によって変える必要があり、具体物(例えばおやつの活動を表すのに実際のフォーク)を使って順序を提示したり、文字の読みが難しい場合はイラストを使ったり、時計が読める場合には時刻がセットになったりと形は様々です。通常、上から下や左から右の順序で、それぞれの活動を並べて示すことが多いです。
ワークシステムって何ですか。
ASDの人が作業や課題を行う際に、支援者が常に付きっきりにならなくとも一人で自立的にその作業や課題を遂行できるようにしたものです。ワークシステムでは、何の活動を行うのか、どのぐらいの量の作業を行うのか、どうすればその作業が終わるのか、終わったら何をするのかなどが視覚的に分かりやすく提示される必要があります。多くの場合、作業スペースの左側に課題や作業がおいてあり、作業スペースでその課題や作業を終えると、右側の箱のなかに終わった課題を入れるというやり方を取ります。そうすることで、左側に置いてあるものが、すべて右側に行ったら活動が終わりということが視覚的に分かります。発達の水準が高ければ、左側に課題や作業を用意しておかなくとも、色や数字、文字などを使って、やるべき課題を明示し、その色や数字、文字を頼りに自分で棚から取ってきて行うようなシステムに移行することもできます。(例えば、赤、青、黄の色のカードを提示しておき、作業や課題をする際には棚から赤のカゴ、青のカゴ、黄のカゴを自分でとってきて課題や作業にとりかかるなどすることです。)活動が終わったあとにはおやつやゲームなどその人が楽しみにしているものが手に入るようになっているとより効果的です。
構造化についてもっと学びたいたいのですが…
次の書籍などが参考になると思います。
佐々木正美(2008)『自閉症児のためのTEACCHハンドブック』学研
自閉症児のためのTEACCHハンドブック―自閉症療育ハンドブック (学研のヒューマンケアブックス)
- 作者: 佐々木正美
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2008/03
- メディア: 単行本
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