猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。ブログ名にあまり意味はありません。

池田由紀江他『新 ダウン症児のことばを育てる 生活と遊びのなかで』

新 ダウン症児のことばを育てる―生活と遊びのなかで

新 ダウン症児のことばを育てる―生活と遊びのなかで

ダウン症児の言語・コミュニケーションの発達および指導についてが事例を通して分かりやすく解説されている。理論的な側面に踏み込むというよりかは、多くの実践の中から得られた知見をまとめた感じで非常に読みやすくまとまっている。

3部構成で、Ⅰ部はダウン症のことばについての概観で、Ⅱ部は生まれてから学齢期までの発達の様子をダウン症児である「あいちゃん」の成長を例に見ていくとともに、それぞれの発達段階で有効な指導プログラムが豊富に紹介されている。Ⅲ部では、指導の実際例として、構音に課題を持つダウン症児や、重度で言語での意思表出が困難なダウン症児に対する指導の例が紹介されている。

本書の特徴は、副題にある通り、言語・コミュニケーションの問題を単独で見るのではなく、日々の生活の中で捉えて育んでいく視点だと思う。ことばの問題にとらわれると、どうしてもことばそのものを直接的にどうにかしようと考えてしまいがちだが、本書ではことばが育つ土台となる「運動」や「認知」、「対人関係」などを、日常生活の中で整えていくことによってことばの発達を促そうとするアプローチをとっている。構音の問題が姿勢や食べる機能への働きかけで改善する例などを読み、「今あることば」の背景に目を向ける幅広い視点が支援者にとって大事だよなぁと、気付かされることが多い本だった。