猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。ブログ名にあまり意味はありません。

行動カスプとは何か

応用行動分析学(ABA)のマイナー用語を調べてみようのコーナー。今回取り上げるのは行動カスプ(behavioral cusp)。カスプとは先端とかとがった部分という意味です。

この概念の提唱者はRosales-RuizとBaerという研究者で、1996年だとか1997年だとかがおそらく初出。

著者らによる行動カスプを説明している論文を見つけた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1284066/

アブストラクトには次のように書いてある。

Certain behavior changes open the door to especially broad or especially important further behavior change, leading to the concept of the behavioral cusp. A behavioral cusp, then, is any behavior change that brings the organism’s behavior into contact with new contingencies that have even more far-reaching consequences.

人間の発達を行動分析の観点から考える際に、全ての行動が同じ重み付けでシステマチックに獲得されるのか、特定の随伴性の変化がその後の行動の変化において特に重要な意味を持つのかは、重要なテーマらしい。

行動カスプとは、その行動を獲得した個体は、新しい行動レパートリーを獲得する環境(強化子・弱化子・随伴性・刺激性制御)に導かれるという点で、その行動自体における変化を超えた結果をもたらすような行動のことである。

論文中では、その例としてハイハイが挙げられている。赤ちゃんはハイハイを獲得することにより、新しい環境への接触の機会が急激に増える。その結果として、様々な随伴性を獲得する機会を得て、行動レパートリーが広がる可能性が高まる。論文中で書かれる通り、赤ちゃんはハイハイを獲得することによってまさに新しい世界のドアを開いたのだ。

個体にとっての行動カスプを特定することができれば、標的行動の選択の際に、それを考慮して介入の目標設定ができるようになるなど臨床的にも意味のある概念に思う。何が行動カスプになりうるかに興味がある方は紹介した論文にあたると良いでしょう。