猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

配置処理の3種類

顔の認知の際には、顔の各パーツ(目とか鼻とか)のレイアウトに関する処理を行っている。こうした要素間の関係についての処理のことを、配置処理(configural processing)という。

Maurerらのレビューによるとこの配置処理には3つのタイプがあるのだそうだ。

まず、一つ目が一次関係への敏感さ(sensitivity to first-order relations)というものである。これは、鼻の上に目がある、鼻は口の上にあるなどといった顔の基本的な配列についての処理で、この処理を経ることにより、「刺激が顔である」と同定する訳である。

二つ目が、全体的処理(holistic processing)というもので、これは顔の各要素を独立して捉えるのでなく全体(gestalt)として捉える処理のことらしい。このような処理を行っている間は、各々の要素を処理することは難しくなるのだそうだ。パーツで〇〇さんという判断ではなく、顔全体として〇〇さんというような処理をしているということらしい。

一次関係の処理だけならば、人類はみな同じ顔と認識されてしまうので、さらに顔情報を処理する必要がある。それが三つ目の二次関係への敏感さ(sensitivity to second-order relations)というものである。これは、目と目がどれくらい離れているかといった要素間の距離の配置関係の処理をおこなうものである。各々の要素そのものを処理する過程とは、別のメカニズムで処理がなされているということが実験の結果から示唆されている。

ただ、これらの語の用法はコンセンサスがある訳ではなく、研究者によってはこれらの一つを指して配置処理と呼んでいたり、3つを区別せずに呼んでいたり様々であるそうだ。

Maurer, D., Le Grand, R., & Mondloch, C. J. (2002). The many faces of configural processing. Trends in Cognitive Sciences, 6, 255–260.