猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

学校外部から特別支援に関わる人の立ち位置は

石隈先生の『学校心理学』という本の中に次のような図がある(p.111)。

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これは学校臨床心理学というものを提唱している近藤先生が、援助サービスを援助者の位置(被援助者が属する社会との関係性)と援助の方法(直接性)の2つの軸で整理したものである。

本の中ではスクールカウンセラーを念頭において心理臨床活動を分類する目的で使われていたけれども、これはスクールカウンセラーに限らず学校の外部の人がが学校現場と関わる活動をする際の整理としてもある程度あてはまるのかもしれない。このブログで対象としている特別支援教育とか。

東京都は児童生徒が通う通級を止めて、先生が学校に訪問するスタイルの「特別支援教室」というものに移行している真っ最中である。この図にそってその流れを整理すると、外・社会体系で直接的に援助を行なうⅠの領域から内・社会体系で直接的に援助を行なうⅣの領域への移行と捉えることができる。

私が現在関わっている学校の先生への特別支援教育についての助言などは、学校を訪問して行なう間接的な援助なためⅢの領域に属するだろう。特別支援学校のセンター的役割として行われている巡回相談などもこの領域だと言える。

インクルーシブ教育推進の流れとかチーム学校とかの流れと関係あるのかは分からないのだけれど、必要な援助を体系内部の現場で行なう方向性というのが一つの流れなのかもしれないと、この図を見ながら思った。図で言うと下側の領域で行われていることが上側に移行すること。そうなると、学校現場には教員以外の様々な立場の人が入ってくる訳だけれども、それをコーディネートする役割というのが俄然重要になってくる訳だ。特別支援教育だと、特別支援教育コーディネーターがその役割にあたることとなる。しかし、その役割を果たすための十分な資源(校務分掌の配慮・専門性を高める研修等)が整っているかというと、私の知るいくつかの現場を見る限りでは楽観的にはなれない。

個々の子どもに対する有効な支援を蓄積するのも大事なんだけれど、うまく回るための仕組みについての知見をもっと蓄積していく必要があると感じている。