猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

集団随伴性について

仕事の都合で集団随伴性について調べ物をした。

個人ではなく、集団でのパフォーマンスについて強化が随伴することを集団随伴性と呼ぶ。

ベイリーとバーチの『行動分析的"思考法"入門』には、集団随伴性が良い行動・良くない行動のどちらも産み出すことが紹介されている。集団随伴性が産み出す良い行動の例としては、集団のメンバーが他のメンバーを励ましたり、協力的になったりすることが挙げられている。よくない行動の例としては、集団のメンバーに対して、「もっと一生懸命やれ!」などのように威圧的に関わるようになったりすることが挙げられている。

メンバーを励ますなど、集団随伴性の良い側面に注目すると、個人での活動の際にはない強化が起きることになる。こうした強化のことを社会的強化と呼ぶそうである。社会的強化が起きやすくなる環境を整えることが、集団随伴性を用いる際に考えなければいけないことの一つだろう。

特別支援教育の文脈だと通常学級のような場面では、集団随伴性によるアプローチが求められることがある。そうした際に、個人に適応される強化、弱化の原理だけだとうまくいかないことが予測されるので、集団随伴性を利用した先行研究の注意点をよくよく精査して、実施しようとしている集団において適当な社会的強化が起きる環境を整えたうえで実施するべきであろう。


ベイリーとバーチの本についての記事】
nekomosyakushimo.hatenablog.com