猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

システマチックインストラクションに関して

ジョブコーチや職リハ界隈で名前は聞くのだけれど、どういう出自を持つのか知らなかったのでネットで見れる文献を中心に調べてみた。

『職業リハビリテーション』の論文より

『職業リハビリテーション』というジャーナルに「ジョブコーチの援助技術―システマティック・インストラクション―」というそのものずばりの短報を見つけた。

ジョブコーチの援助技術― システマティック・インストラクション―

それには、次のように書いてある。

米国全体でどの程度普及しているかは明らかでないが, RRTCと関係の深い援助付き雇用実施機関では 多くのジョブコーチがシステマティック・インストラクションを訓練に取り入れていた。(p.74)

RRTCというのはこの論文の著者が研修を受けたヴァージニア・コモンウェルス大学リハビリテーション研究研修センター(Virginia Commonwealth University Rehabilitation Research and Training Center)のことである。

この短報ではRRTCの実務マニュアルの内容を参照しながら、システマチックインストラクションを解説している。詳しく知りたい人はそのマニュアルを参照せい、ということなのでネットで探して見る。

RRTCのマニュアル

よく分からないけどpdfで落ちていた。1986年の古い方。

The Supported Work Model of Competi- tive Employment for Citizens with Severe Handicaps: A Guide for Job Trainers ※pdf注意

さて、この中ではsystematic instructionという語そのものは3度しか出てこないものの、その考え方はしっかりと明記されている。

systematic instructionは初期の訓練・スキル獲得(initial training and skill acquisition)という節で次のように書かれている。

Once a job/task analysis has been completed and the job trainer is comfortable with the daily work routine, systematic instruction of job skills to the client should begin. This phase of behavioral training is based on establishing the following procedures:
1) Determine effective reinforcers, preferably using only naturally occurring ones such as social praise. Use as sparingly as possible since few reinforcers will be available after the trainer has faded his or her training.
2) Choose prompting techniques that allow the client to learn the job correctly from the beginning.
3) Determine recording procedures for tracking independent performance and work rate.
4) Increase the rate of work once the quality of work is acceptable by company standards.
5) Fade your instruction slowly so that the client gradually begins to perform the job independently. (p.63)

いわゆる行動分析的な強化子、プロンプト、データの記録、フェイディング等を援助付き就労の枠組みの中で体系的に活用する方法がシステマチックインストラクションとして紹介されている。

日本語で紹介されるものとの違い

このマニュアルを読むと、日本語でシステマチックインストラクションが紹介されているときとの違いというのも感じた。

たとえば、システマチックインストラクションを日本語で検索するとプロンプトの階層のみを紹介した、次のような解説を見る。

「システマティック・インストラクション」 それは、指示の階層を示しています。
1)言語指示
2)ジェスチャー
3)見本の提示  
4)手添え
介入度は低い方から1、2、3、4と高くなります。   

他分野の良い技術も使おう(システマティック・インストラクション)

このような捉え方をしている例はよくお目にかかる(し、わたしもそういうものだと思っていた)。次のサイトも似たような形でプロンプトの階層性にその焦点をあてている。

システマチック・インストラクション1
ジョブコーチ概論 ※pdf注意

一番最初に紹介した論文ではマニュアルに沿って紹介されていたように思うが、日本に輸入され実践される際に、インパクトがあるプロンプトの階層のイメージが強く印象付けられ、システマチックインストラクションに関するその他の部分が忘れられていったのだろう。(ある技術が伝播する際にこういうことはよく起こることだけど・・・)

時間があればよく見るピラミッドの図の初出がどこかも調べてみようと思う。