猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

WISC-ⅣはFSIQの解釈のみで十分!?

次の論文にさらっと目を通した。

Structure of the Wechsler Intelligence Scale for Children – Fourth Edition in a Group of Children with ADHD

ADHD児を対象にWISC-Ⅳのデータについて確証的因子分析でいろいろなモデルを比較したというもの。

論文の内容に入る前にいくつかの用語の説明を。

階層因子分析モデル(hierarchical factor analysis model)というものがある。全ての観測変数を説明する一般因子(general factor)と、いくつかの観測変数を説明するグループ因子(group factor)とで説明するモデルのことを指している。

ぱっと見たところ、高次因子分析モデル(higher–order factor analysis model)と似ている図になるが、階層因子分析モデルは「どの階層に属する因子も説明するのは全て観測変数」なのに対して、高次因子分析モデルは、「高次の因子が説明するのは因子」である点で違っている。

特に、階層因子分析モデルのうち、一般因子といくつかのグループ因子の2層からなるモデルを双因子モデル(bi-factor model)というそうだ。

それで、ここからが論文の内容について。いろいろなモデルで当てはまりを調べてその指標を比較している。

結果は、どれも当てはまりはまぁいいけど、双因子モデルが最高という話。で、この双因子モデルで観測変数のばらつきをどの程度説明できているかを見ると、グループ因子(ようするに、言語理解とか知覚推理とか)よりもずっと高い割合を説明でき、かつ、信頼性も高いとのことである。さらに、一般因子が読みと計算の成績を強く予測していると(WMIも一応有意に予測しているが)。

この結果は何も全く新しいものでなく過去の研究とも一致しているらしく、それらを含めディスカッション部分では次のように書かれている。

These findings indicate support for the presence of a general dimension in the bifactor model, and that only the general factor can be meaningfully interpreted. They support the utilization of the total score, and not index scores of the WISC-IV.

結論としては、一般因子にあたるFSIQの利用は信用できるし勧められるけど、各指標得点では活用しない方が良いと。

WISCとか使って認知特性がどうちゃらとかもっともらしいコメントを言わないといけないことはままあるから、色々と考えることも多い。 少なくとも、日本で研修を受けたり、日本語で読む書籍に書いてあるような「オフィシャル」な解釈の方法とは別路線になるよなぁと。