猫も杓子も今年の3冊【2019年】
散らかりきった1年なので読む本も散らかっていました。ですが毎年やっていることなので今年も一応書きます。
過去記事はこちら。
猫も杓子も今年の3冊【2018年】 - 猫も杓子も構造化
猫も杓子も今年の3冊【2017年】 - 猫も杓子も構造化
猫も杓子も今年の3冊【2016年】 - 猫も杓子も構造化
猫も杓子も今年の3冊【2015年】 - 猫も杓子も構造化
『公認心理師技法ガイド』
下山晴彦・伊藤恵美・黒田美保・鈴木伸一・松田修(編)『公認心理師技法ガイド 臨床の場で役立つ実践のすべて』(文弘道)
夏に試験があったので受けました。その際に自分の専門としているところだけでなく広く知識や技能を身につけることが心理関係の仕事において求められると強く感じましたので手に取ってみました。
臨床の場で必要な技法がそれぞれ3−4ページでまとまっている本で, この1冊で完結する訳ではないですが入り口としては最適に思います。この本で概要をつかんで, 深めたい内容については引用されている文献に当たれると良いのでしょう。
本のかなり前半で, エビデンスベイストの考え方の解説にページを割いていますし, 序文でエビデンス・ベイスト・プラクティスの重要性に触れており, 心理師に求めるメッセージというが明確な本だと思いました。
決して安くはないですが, 心理師は持っておいて損のない本だと思いました。
『もしも「死にたい」と言われたら』
松本俊彦(2015)『もしも「死にたい」と言われたら 自殺リスクの評価と対応』中外医学社
心理に関連した仕事をすると自殺のリスクがあるクライエントと接する場面はままある訳ですが, そうした際に指針となる最良の1冊に思いました。
誰しも「死にたい」という言葉を聞くと少なからず動揺するとは思いますが, そうしたときに適切な対応をするために必要なのはやはり正確な知識なのだと思います。
この本は, 現在までに分かっている自殺研究の知見をまとめて, どういった対応が求められているのかを整理しているので大変役に立ちます。
「死にたい」という言うかもしれないクライエントと関わる可能性がある人は読んでおくと良いと思いました。
『吃音のリスクマネジメント』
菊池良和(2014)『吃音のリスクマネジメント:備えあれば憂いなし』学苑社
吃音の子供を持つ親や, 吃音を持つ子に関わる医師, 言語聴覚士, ことばの教室の教員に向けて書かれた本。吃音に関する事実と, 具体的な対応が載っています。
とにかく, 解説や助言が具体的で分かりやすいので現場で役に立つと思います。現場向きの本には, とても分かりやすかったり面白かったりするけれども, 根拠がないデタラメ本というのが一定数紛れているように思いますが, この本については出典などもしっかり記載しつつ, その成果を分かりやすく解説していてとても良いと思いました。
選んだ3冊からも散らかった1年だったと感じますが, 来年も色々なジャンルの勉強を続けていこうと思います。みなさま良いお年を。