猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

内山登紀夫『本当のTEACCH』

本当のTEACCH―自分が自分であるために (学研のヒューマンケアブックス)

本当のTEACCH―自分が自分であるために (学研のヒューマンケアブックス)

TEACCHプログラムの紹介をする本で、支援の具体的な手法というよりはプログラム自体についての解説本である。前の記事で紹介した梅永先生の本と似たような趣。

TEACCH自体やTEACCHの手法にについて紹介する本はたくさんあるが、それらと本書が異なっている点の一つは、TEACCHの背景となる考え方について言及がある点だと思う。つまり、TEACCHとは「何」であるかだったり、TEACCHが「どう」支援するかについて紹介している本は他にもあるが、TEACCHが「なぜ」そうしたプログラムを提供するのかについて突っ込んで書いている本は多くないのだ。

この本の、入門編の中の「TEACCHの歴史」という部分と専門編の中の「ショプラー先生へのインタビュー」「メジボフ教授へのインタビュー」の部分では、TEACCHができた当時のアメリカでの精神医学の潮流(精神分析学的な考えが主流だった)を紹介しながら、その中でいかにTEACCHが発展していったのかが書かれている。

これらの部分を読むと、プログラムが採用する原理や原則(例えば、保護者との協力関係の構築など)をより深く理解できると思う。