猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

『Rによるやさしい統計学』の感想及びサンプルデータ

Rによるやさしい統計学

Rによるやさしい統計学


『Rによるやさしい統計学』を一通り読み終えた。Rという言語そのものへの入門と統計学への入門のちょうど間のような本。折衷的ではあるがとてもバランスが良い本だと感じた。

全部で20章からなり、前半の7章は基本編、後半の13章が応用編と位置づけられている。前半では、Rのインストールから始まり、Rを操作しながら記述統計、2変数の記述、母集団と標本、統計的検定、t検定や分散分析などの平均値差の検定が続く。Rには、各種検定を行なう関数があるが、検定で何を行っているかの理解を深めるためにあえて統計量の計算などを一つひとつRのコンソール上で実行していくので、各種検定がデータにどのような処理をしているか手を動かしながら学ぶことができる。

後半では、トピック毎に必要となるR上での操作が紹介されている。因子分析や共分散構造分析、人口データの発生や検定力分析など多様なトピックを扱っているが説明はとても簡素。必要な関数やパッケージなどのハウツーの紹介に近いので、それらの手法の理屈や理論については別途学ぶ必要があるだろうが、とりあえずRで実際に分析を行なうことができるようになるところまで最短距離で目指す感じではある。

この本の、統計学的な解説と実際の手を動かす実務的な部分のバランス感覚というのが私にとってはちょうど良かった。統計学の基本的な教科書を読み、基本的な検定や推定については一通り学んだものの、どこからしっくり来ていないような状態。そんな人こそ、この本をからは得るものが多いと思う。実際にデータを発生させたり、計算したり、グラフなどで視覚的に表現したりとアレコレといじってみることはとても勉強になる。実際のデータとの対応の中で教科書的な知識が具体的に意味を持ってきて、統計についての理解が素人なりにではあるが深まったと思う。

さて、本の中で使用するデータがあるのだが、これをいちいち打ち込むのは面倒だったのでネットで探すと公開されているものが見つかった。以下にリンクを張っておくので、この本を使って勉強するときには活用すると良いでしょう。


・2章から7章で使う指導法データ
・13章で使うプリポストデザイン
・15章で使う重回帰のデータ
・16章でデータを発生させるスクリプト
  社会統計演習

・10章で使う、体重と脳の重さのデータ
  外れ値が相関関係に及ぼす影響を調べる - Qiita