ABA対TEACCH論文
自閉症への介入プログラムは様々あるが、それらの中でも有名なABAとTEACCHに焦点をあててそれらの社会的妥当性(social validity)を検討した論文。
社会的妥当性とは、論文の中で次のように定義されている。
Social validity can be generally defined as consumer satisfaction with the goals, procedures, and outcomes of programs and interventions.(p.75)
すごい簡単に行ってしまえば、プログラムや介入の利用者/受益者がそのプログラムや介入に納得できているかどうかのことである。
この論文では、著者らの以前の研究で行ったsocial validation surveyの各項目に「ABA」、「TEACCH」、「その両方」のどれを一番代表しているかコーディングした上で、そのコードを独立変数として各項目の点数に影響を与えているかを検討している。
結果は、2つのモデル間では社会的妥当性にはっきりとした優劣はないが、2つのアプローチの組み合わせたものについては(それぞれのアプローチを単独で扱うよりも)有意に高い水準の社会的妥当性が確認されたと報告している。また、全てのアプローチが比較的高い社会的妥当性(平均は7件法で6付近)であるが、やはり両方のモデルの組み合わせがもっとも高い評価を受けている。
主たる結論はこんな感じだが、その他にも著者らが提唱しているIDEALモデルの各要素の内でABA/TEACCHが何を重視しているかの違いなども検討している。
服巻先生のブログで、「TEACCHかABAか」なんてのはナンセンスだということが書かれていたと思うが、その点はこの論文で検証された社会的妥当性の点から言っても支持されるようだ。
服巻智子公式ブログ:行動科学とTEACCHアプローチ