猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

続・二項分布の3次のモーメント

前回の記事で、モーメント母関数を用いた二項分布の3次のモーメントの導出について書いた。今回は、二項分布から抽出したデータの分布を実際に見ながら3次のモーメントと分布の形にについてみてみる。

Rのデフォルトの関数には、歪度を計算するものはないらしい。momentsというパッケージを入れれば、その中にskewness()という歪度を計算する関数があるので今回はそれを使う。

まずは、成功確率 pが異なる二項分布から、それぞれ  n = 1000程度でデータを発生させる。

dat1 <- rbinom(1000,10,prob=0.5 )
dat2 <- rbinom(1000,10,prob=0.25)
dat3 <- rbinom(1000,10,prob=0.75)
dat4 <- rbinom(1000,10,prob=0.10)
dat5 <- rbinom(1000,10,prob=0.90)

それぞれのデータで歪度を求めるとともに、度数分布をプロットしてみる。

まずは、 p= 0.5のものから。

f:id:nekomosyakushimo:20170915225523p:plain

 a_3 = -0.0515で、0に近い。分布もそれに対応して概ね左右対称である。

続いて、 p= 0.25のものを見る。

f:id:nekomosyakushimo:20170915225731p:plain

 a_3 = 0.373である。歪度は正の値だと、右の裾が長くなると言われており、分布からも確認することができる。

今度は、 p = 0.75

f:id:nekomosyakushimo:20170915230344p:plain

 a_3 = -0.382であり、負の値なので左の裾が長くなっている。一つ前のものと比べると絶対値は似たような値であり、分布の歪みの程度が大体同じであることを示している。

より偏りのある p= 0.10で見てみよう。

f:id:nekomosyakushimo:20170915230750p:plain

 a_3 = 0.991であり、より大きな偏りを持ち、右の裾の長い分布であることが分かる。

最後は p= 0.90

f:id:nekomosyakushimo:20170915231059p:plain

 a_3 = - 0.899で、予想通りに左に裾が長い分布が確認できる。

歪度を求めると分布の形についてより詳細に分かるので、分布の形状を確かめるときには算出すると良いでしょう。