猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

総論っていうのであれば

少し前のこととなるが、某機関が主催している研修を受けてきた。内容は、特別支援教育におけるアセスメントについての総論で、アセスメントの役割であったり、よく使われるアセスメントについて浅く広く紹介するというようなものであった。講師を務めていたのは民間の療育機関で心理士をされている方。

自分は、今まで実務上関わってきたものについてはそれなりに知っているが(アマチュアなりではあるが)、そうでないものについては門外漢であったので「ふむふむ、なるほど、色んなアセスメントがあるんだなぁ」と聞いていたのだが、応用行動分析学を理論的な背景とした機能的アセスメントの説明になったときに、ちょっと戸惑ってしまった。というのも、そこで説明されていた内容がかなり的外れなものであったからである。

その研修では、使われるスライドはその心理士の方が作ったものでなく、もともと用意されているものを使って講義を行うというスタイルであったので、スライドの中にあまり明るくない部分があってもおかしくはないとは思う。おそらく、その心理士の方は日常的には田中ビネーやWISCなどの知能検査や認知検査をとることには慣れ親しんでいたのだろうが、機能的アセスメントなどはあまり行ったことが無かったのではないかと思われる。

ただ、その的はずれな説明を聞いたときに、「ではこの概論の紹介されているアセスメントに関して、どれが信頼に足る説明で、どれが信頼が置けない説明なのだろう。」ということを考えてしまった。というのも、自分はたまたま機能的アセスメントに馴染みがあったからそこでなされている説明が間違いだと判断できたのだが、そうでない馴染みのない分野については判断がつかないので、とりあえずその講師の言うことを正しいと信じるほかはない。ただ、間違っている内容があるかもしれない、という疑念を抱きながら聞くのはなかなかストレスがたまるものである。

少なくとも総論という名のついた研修で、受講者が初学者を対象としているのであれば、間違った情報や理解を与えないようにするのは研修をする立場の人間にとって大事に思うのだが、そうした感じがなくて少し残念に思った。

これを他山の石に、自分が人に何かを説明する機会はそう多くないのだけれどもそういった機会がある際には、1)分からないことについてはよく分からないと言うとか、2)よくよく調べてみて「あまり詳しくはないのですが…」と注釈をつけて説明をしようと思う。