猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

理論的な根拠と言うけれども

自閉症の人に対する構造化という支援の手法がある。わたしのブログのタイトルにもなっている。先日友人と話す中で、それに関連して次のような質問を受けた。「自閉症の人の認知の仕組み(例えば、実行機能障害や弱い中枢性統合など)を明らかにすることは、…

自閉症:「心の理論」を超えて

フリスとハッペによる次の論文を読んだ。Autism: beyond "theory of mind". - PubMed - NCBI 前半は、心の理論の登場がどのように研究に影響を及ぼしたかというのがレビューされている。その後、心の理論では上手く説明できない自閉的特性の非社会的な側面を…

池田光男『眼はなにを見ているかー視覚系の情報処理ー』

眼はなにを見ているか―視覚系の情報処理 (平凡社 自然叢書)作者: 池田光男出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1988/08/01メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (1件) を見る『基礎から学ぶ認知心理学』(有斐閣)で紹介されていたので読んだ。…

比率の差の検定・多重比較

群間で条件ごとに比率の差を検討したいような状況を考える。例えば、自閉症の人の弱い中枢性統合の仮説を検討するためにHappeという研究者が1996年に行った実験の分析はその状況である。研究では、通常錯視が起きやすいと思われる2D条件と、錯視が起きずらい…

自閉症系の国際誌のインパクトファクター

【2017年8月30日に追記】Mollcular Autismって雑誌があってこれはIF4.833らしい。編集主任の一人は「心の理論」でお馴染みのSimon Baron-Cohen 。2010年からの雑誌で、基本的にオープンアクセスっぽい。Molecular Autism | Home page【追記ここまで】 どれが…

配置処理の3種類

顔の認知の際には、顔の各パーツ(目とか鼻とか)のレイアウトに関する処理を行っている。こうした要素間の関係についての処理のことを、配置処理(configural processing)という。Maurerらのレビューによるとこの配置処理には3つのタイプがあるのだそうだ…

二項分布とポアソン分布

二項分布とポアソン分布も親戚関係にあるらしい(『キーポイント確率統計』岩波書店)。二項分布を、npをλに固定したまま、pを0に近づけ、nを無限に大きくしていくとポアソン分布が現れるからである。二項分布は超幾何分布の子どもだった訳だから、さしずめ…

大数の法則のシミュレーション

『統計学入門』(東京大学出版会)の中で大数の法則を説明している章があり、その中でコンピュータシミュレーションによる実験が紹介されている。成功確率p=0.4のベルヌーイ試行を20000回行い,100回おきに成功率を計算して、nが増えるに従いp=0.4に近づくか…

測定することと情報の取捨選択

ある測定方法をとることは、何かをあきらかにし、何かを捨てている。「その測定により何があきらかにされたか」,「その測定により何が捨てられたか」を考えることは, 他者の研究をみる上でも, 自分の研究を行う上でも重要である。(市川, 1990, p.8) さすが…

超幾何分布と二項分布

超幾何分布というのは二項分布の「親」であるらしい(『キーポイント確率統計』岩波書店)。どういうことかというと、超幾何分布の当たり数とはずれ数の比を一定にしたまま、当たり数とはずれ数の数を極限まで増やすと、二項分布に一致するからである。これ…

超幾何分布について

超幾何分布という確率分布がある。これは、二項分布の非復元抽出版のことである。トランプを山から何枚か引く場面を思い浮かべてもらうと分かりやすいかもしれないが、1枚引くたびにカードを元の山に戻すのが復元抽出で、カードを戻さないのが非復元抽出であ…

大村 平『実験計画と分散分析のはなし』

実験計画と分散分析のはなし―効率よい計画とデータ解析のコツ作者: 大村平出版社/メーカー: 日科技連出版社発売日: 2013/01/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る直交表やラテン方格などの実験計画関連に興味を持って読んだ。前半は、分散分…

服部 雅史ほか『基礎から学ぶ認知心理学』

基礎から学ぶ認知心理学 -- 人間の認識の不思議 (有斐閣ストゥディア)作者: 服部雅史,小島治幸,北神慎司出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2015/09/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る認知心理学を浅く広く入門したいと思い読んだ…

多変量正規分布の累積密度とか

以前の記事で多変量の正規分布に従う乱数を発生させるのにMASSというパッケージを紹介した。 任意の母相関を持つ多変量の生成 - 猫も杓子も構造化多変量の正規分布を扱えるパッケージは他にもあって、mvtnormというパッケージがある。こっちのパッケージのrm…

十河宏行『心理学実験プログラミング』

心理学実験プログラミング: Python/PsychoPyによる実験作成・データ処理 (実践Pythonライブラリー)作者: 十河宏行出版社/メーカー: 朝倉書店発売日: 2017/04/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る当面の自分のやることに関係ありそうなとこ…

任意の母相関を持つ多変量の生成

例えば、母相関係数が0.9である変数xと変数yを生成したいとする。google先生で調べると次のようなサイトが次のような資料を見つける。Rで架空データの発生なので、言われた通りにやってみる。 rho <- 0.9 n=1000 z <- rnorm(n,0,1) e1 <- rnorm(n,0,1) e2 <-…