猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

クミン『ダウン症の子どもがいきいきと育つことばとコミュニケーション』

ダウン症の子どもがいきいきと育つことばとコミュニケーション―家族と専門家のための実践ガイドブック

ダウン症の子どもがいきいきと育つことばとコミュニケーション―家族と専門家のための実践ガイドブック

  • 作者: リビー・クミン,梅村浄
  • 出版社/メーカー: メディカ出版
  • 発売日: 2011/03/21
  • メディア: 大型本
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ダウン症の子どもの言語発達から、話し言葉でのコミュニケーションに関する言語学的な基礎知識(音韻論・語用論など)、言語の評価から言語療法まで幅広いトピックが非常に読みやすくまとまっている。副題に「家族と専門家のための」とあるとおり、ダウン症の子の家族にとっての読みやすさや有用性(「いっしょにやってみよう」という取り組みやすい活動を載せたコラムが随所にある)を大事にしつつも、専門家にむけて出典をしっかりと示しており、参考文献・推奨文献が充実しているバランスの良さも本書の魅力に思う。

訳書ではあるが、翻訳者のコラムが日本語の話し言葉の場合や、日本における言語療法の実際を示してくれていてこれもまた有り難い。

欲を言うのであれば、日本の読者に向けての参考文献や推奨文献を載せて欲しかったが、いずれにせよダウン症の子のコミュニケーションの問題に取り組む際は足がかりにしやすい一冊だと思う。本書は、乳児期から幼稚園までの年齢が対象とのことなので、同じ著者による学童期や青年期を対象とした次巻"Helping Children With Down Sydrome Communicat beter: Speech and Language Skills for Age 6-14"も日本語訳が出てくれるのを期待したい。