世論調査と誤差
NHKのサイトによれば、NHKの世論調査の標本サイズは3600人だそうである。
世論調査の手順 - 調査相手の抽出 | NHK放送文化研究所
3600人の抽出調査に対して誤差の範囲が次のように紹介されている。
回答 | 5/95% | 10/90% | 20/80% | 30/70% | 40/60% | 50% |
誤差 | ±0.7% | ±1.0% | ±1.3% | ±1.5% | ±1.6% | ±1.7% |
この誤差がいったいどういう理屈で計算されているかというと、以前の記事で書いた信頼係数95%における比率の誤差の計算式
から計算することができる。
nekomosyakushimo.hatenablog.com
試しに、nに3600を代入して本当にNHKのサイト通りになるのかを確認してみよう。p=0.5(回答が50%)の場合、
となり、マイナスの場合は考えなくて良いので
が得られる。有効数字2桁になるように切り上げれば、母集団比率が50%であるときの誤差は1.7%程度ということである。つまり、NHKのサイトに載っている誤差とは、同じ抽出を繰り返した際に95%の確率で母集団からの誤差がその範囲に収まる値である。逆に言えば5%の確率で、1.7%以上の誤差も起きるということだ。
最初の方で紹介した誤差の表を見ていただけると分かるが、母集団比率がけっこう偏っていようが、1%程度の誤差はあるということである。そのことを鑑みると、世論調査で出てきた政党支持率のうち、差が1%に満たないようなもの(例えば、今回の希望の党と立憲民主党の0.4%の差)は抽出における誤差の可能性を十分に考慮して見る必要があるだろう。
と、ここまで書いてきたのだけれどよくよく調べたら、月齢政治意識調査は電話調査であって上記紹介のものよりも少し小さいサンプルサイズであった。
今回の場合は、得た有効回答数が3119人だそうなので少しだけ誤差が大きくなりますかね。あと、上記の計算は回答率を全く考慮していないので(あくまで統計学的に誤差がどうなるかの計算なので)現実の結果解釈はより難しい話になりますね。