初期の積木模様に関する調べ物
調べ物の記録。
Kohsと積木模様
ウェクスラー系の心理検査に使われる「積木模様」(Block Design)はアメリカでKohsという人が開発したものがオリジナルである。Kohs(1920)の論文を見ていると、ビネー式の知能検査から、言語が与える要因を除くことが開発の動機として書かれている。聾者であったり、言語理解が乏しい場合でも検査が可能であり、そのことから人種間の違い(racial difference)の研究や言語の面でのハンデキャップがある人の精神機能についての研究への応用が視野に入っているとの記述がある。
Francis N. Maxfieldという人について
しかし、よくよく調べていくとこの検査はKohsがゼロから作った訳ではなくて、Maxfieldという人が作ったColor Cubeテストというものを下敷きにしているようである。このMaxfieldと言う人は調べてみると、ペンシルバニア大学のウィトマーのもとでPh.Dをとり、APAのClinical Sectionの最初の3年間のchairを務めたようなので、臨床心理学の最初期の人だと言えるだろう(Routh, 1994)。ちなみにMaxfieldがPsychological Clinicにきたのは1912年で、その後Clinicに1925年までいた後にOhio state Universityに移ったようである。
MaxfieldのColor Cubeテストについて
Maxfieldが作ったColorCubeテストについて調べてみているのだが、これの情報があまり出てこない。Hutt(1925)によれば、もともと"imageablity in children"を測定するために使われていたようであり、これは感覚野?(sense field)における正確な像を持つ能力だとされている。"Encyclopedia of Clinical Neuropsychology"をみても 「Hutt(1925)によればという書き方」であるため、MaxfieldのColor Cubeテストの詳細を知るのは難しいのかもしれない。
文献
- Bettcher, B. M., Libon, D. J., Kaplan, E., Swenson, R., & Penney, D. L. (2011). Block Design. In J. S. Kreutzer, J. DeLuca, & B. Caplan (Eds.), Encyclopedia of Clinical Neuropsychology (pp. 419–422). New York, NY: Springer New York.
- Kohs, S. (1920). The Block-Design Tests. Journal of Experimental Psychology, 3(5), 357–376.
- Hutt, R. B. W. (1925). Standardization of a a color cube test. The Psychological Clinic, 16, 77–97.
- Routh, D. K. (1994). The American Association of Clinical Psychologists, 1917-1919. In Clinical Psychology Since 1917: Science, Practice, and Organization (pp. 13–18). Boston, MA: Springer US.