猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

社会的妥当性について

社会的妥当性とは

社会的妥当性(social validity)という言葉がある。これは大雑把に言ってしまえば、応用行動分析学研究で実施される介入プログラムが社会的に容認されるかについて、介入によって実際に利益を受けるメンバーに評価させようという考えである。例えば、ダイエットのプログラムなのであれば、ダイエットをしたい訓練の対象者になるだろうし、発達障害児の教育プログラムであれば、対象となった児童やその保護者、あるいは先生なんかが評価をするメンバーであろう。いくら科学的に妥当な研究であったも、その当該の社会のメンバーにとって意味がないと感じられるようだと、「応用」行動分析学的にはダメだろうということで1970年代後半に提唱された概念である。提唱者としてよく引用されるWolfによれば、社会的妥当性は「the "heart" of applied behavior analysis」であると。

Social validity: the case for subjective measurement or how applied behavior analysis is finding its heart

社会的妥当性レビュー論文

journals.sagepub.com

社会的妥当性が、特殊教育分野でどう扱われてきたのかをレビューした論文がある。著者らによれば、社会的妥当性の研究は次の4つをパートから成るとしている。

  1. 指導効果の社会的な重要性
  2. 指導目標の社会的な意義
  3. 指導手続きの社会的な適切性
  4. 遂行の最適な水準の決定

介入をしたら行動が変わりましたよで終わるのでなく、こうしたデータで補強しながら介入に意義があったということを示せというのが大事なのだそうだ。