猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

島宗 理『インストラクショナルデザインー教師のためのルールブックー』

インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブック

インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブック

行動分析学専門とする著者によるインストラクショナルデザインの入門書。一般向けの本のため専門的な話はほとんど出てこないので大変読みやすい。

本書で、インストラクションとは次のように定義される。

インストラクションとは何らかの行動を引き出すための仕掛けである(p.7)

そして、そのインストラクションが成功するためには「デザインが不可欠である(p.8)」という前提にたち、どのようなインストラクションを設計すればうまくいくのかが解説される。

前半は「インストラクションの鉄則<ルール>」ということで、主に行動分析学を中心に積み上げられてきた学習の科学をもとに、うまくいくインストラクションのルールが紹介される。例えば、目標分析や職務分析に基づく標的行動の設定や学び手の学習状況の確認のための多様な評価の方法など、何かを教える立場にある人が持っていて絶対に損をしない知識が書かれている。

後半は「インストラクションのデザイン」ということで、前半で解説されたルールを用いて、具体的にインストラクションをデザインするプロセスが解説される。ステップごとに分けられているので各々の教える内容に合わせて、このステップに沿ってインストラクションを組み立てていけば、成功するインストラクションが完成するという寸法である。

教員や企業等の研修担当など、何かを教えることに関わる人には大変お勧めできる本だと思う。私の関係する分野だと、特別支援教育で個別の指導計画(IEP)作成に関わる人にはとりわけおすすめしたい。目標の設定や評価のあり方など得るものは大変多く、その後のIEPの質の向上につながる考え方を得ることができるだろう。

『パフォーマンス・マネジメント』を読んだときにも思ったけれど、島宗先生の本は理論的な基盤がしっかりしているのに、平易な言葉でサクサクと読めるようになっていてすごいなぁと思う。



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