猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

比率の差の検定・多重比較

群間で条件ごとに比率の差を検討したいような状況を考える。例えば、自閉症の人の弱い中枢性統合の仮説を検討するためにHappeという研究者が1996年に行った実験の分析はその状況である。研究では、通常錯視が起きやすいと思われる2D条件と、錯視が起きずらい…

自閉症系の国際誌のインパクトファクター

【2017年8月30日に追記】Mollcular Autismって雑誌があってこれはIF4.833らしい。編集主任の一人は「心の理論」でお馴染みのSimon Baron-Cohen 。2010年からの雑誌で、基本的にオープンアクセスっぽい。Molecular Autism | Home page【追記ここまで】 どれが…

配置処理の3種類

顔の認知の際には、顔の各パーツ(目とか鼻とか)のレイアウトに関する処理を行っている。こうした要素間の関係についての処理のことを、配置処理(configural processing)という。Maurerらのレビューによるとこの配置処理には3つのタイプがあるのだそうだ…

二項分布とポアソン分布

二項分布とポアソン分布も親戚関係にあるらしい(『キーポイント確率統計』岩波書店)。二項分布を、npをλに固定したまま、pを0に近づけ、nを無限に大きくしていくとポアソン分布が現れるからである。二項分布は超幾何分布の子どもだった訳だから、さしずめ…

大数の法則のシミュレーション

『統計学入門』(東京大学出版会)の中で大数の法則を説明している章があり、その中でコンピュータシミュレーションによる実験が紹介されている。成功確率p=0.4のベルヌーイ試行を20000回行い,100回おきに成功率を計算して、nが増えるに従いp=0.4に近づくか…

測定することと情報の取捨選択

ある測定方法をとることは、何かをあきらかにし、何かを捨てている。「その測定により何があきらかにされたか」,「その測定により何が捨てられたか」を考えることは, 他者の研究をみる上でも, 自分の研究を行う上でも重要である。(市川, 1990, p.8) さすが…

超幾何分布と二項分布

超幾何分布というのは二項分布の「親」であるらしい(『キーポイント確率統計』岩波書店)。どういうことかというと、超幾何分布の当たり数とはずれ数の比を一定にしたまま、当たり数とはずれ数の数を極限まで増やすと、二項分布に一致するからである。これ…

超幾何分布について

超幾何分布という確率分布がある。これは、二項分布の非復元抽出版のことである。トランプを山から何枚か引く場面を思い浮かべてもらうと分かりやすいかもしれないが、1枚引くたびにカードを元の山に戻すのが復元抽出で、カードを戻さないのが非復元抽出であ…

大村 平『実験計画と分散分析のはなし』

実験計画と分散分析のはなし―効率よい計画とデータ解析のコツ作者: 大村平出版社/メーカー: 日科技連出版社発売日: 2013/01/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る直交表やラテン方格などの実験計画関連に興味を持って読んだ。前半は、分散分…

服部 雅史ほか『基礎から学ぶ認知心理学』

基礎から学ぶ認知心理学 -- 人間の認識の不思議 (有斐閣ストゥディア)作者: 服部雅史,小島治幸,北神慎司出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2015/09/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る認知心理学を浅く広く入門したいと思い読んだ…

多変量正規分布の累積密度とか

以前の記事で多変量の正規分布に従う乱数を発生させるのにMASSというパッケージを紹介した。 任意の母相関を持つ多変量の生成 - 猫も杓子も構造化多変量の正規分布を扱えるパッケージは他にもあって、mvtnormというパッケージがある。こっちのパッケージのrm…

十河宏行『心理学実験プログラミング』

心理学実験プログラミング: Python/PsychoPyによる実験作成・データ処理 (実践Pythonライブラリー)作者: 十河宏行出版社/メーカー: 朝倉書店発売日: 2017/04/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る当面の自分のやることに関係ありそうなとこ…

任意の母相関を持つ多変量の生成

例えば、母相関係数が0.9である変数xと変数yを生成したいとする。google先生で調べると次のようなサイトが次のような資料を見つける。Rで架空データの発生なので、言われた通りにやってみる。 rho <- 0.9 n=1000 z <- rnorm(n,0,1) e1 <- rnorm(n,0,1) e2 <-…

行動カスプとは何か

応用行動分析学(ABA)のマイナー用語を調べてみようのコーナー。今回取り上げるのは行動カスプ(behavioral cusp)。カスプとは先端とかとがった部分という意味です。この概念の提唱者はRosales-RuizとBaerという研究者で、1996年だとか1997年だとかがおそ…

小倉晶男『福祉を変える経営ー障害者の月給1万円からの脱出ー』

福祉を変える経営~障害者の月給1万円からの脱出作者: 小倉昌男出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2003/10/09メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 84回この商品を含むブログ (21件) を見る著者の小倉さんは、クロネコヤマトで有名なヤマト運輸の元会長で、会…

ABAと用語の誤用

以前の記事でも似たようなことを書いたが、最近ABA関連でまた誤用に出会った。ABAにおける「ABABデザイン」という言葉が、「ベースラインに後続して介入条件Aと介入条件Bを繰り返す実験デザイン」だと勘違いされていた。ABAの適当な教科書を参照すればすぐに…

エクスクルーシブなインクルージョン

イギリス特別なニーズ教育の新たな視点作者: メアリー・ウォーノック,ブラーム・ノーウィッチ,ロレラ・テルジ,宮内久絵,青柳まゆみ,鳥山由子出版社/メーカー: ジアース教育新社発売日: 2012/03/15メディア: 単行本この商品を含むブログを見る必要があってこ…

正の強化・負の強化という言い方をやめにしよう

表題の通りの主張です。代わりに「好子出現の強化」「嫌子消失の強化」を使うと良いと思う。なぜこんなことを思ったのかと言うと、先日「行動分析の専門家」を自称する人が負の強化を誤った用法で解説しているのを聞いたからである。その人はストーカーを例…

ソーシャルストーリーとソーシャルナラティブ

ASDへの実践の文献を読んでいるとsocial narrativesという語によくあう。実践の内容や説明を見ているとソーシャル・ストーリーとほぼほぼ一緒なのだが、こっちの言われ方の方がよく見かける。で、何か違うのかと調べていたら次のようなサイトを見つける。the…

続・シングルケース研究のグラフをRで描く

昨日の記事では折れ線グラフに白線を重ねて一部の線を消すなんて面倒くさいことをしたのだけれど、よくよく考えれば最初からデータを分けて入力してプロットすればいいだけの話であった。データの準備の時点でフェイズごとにデータを分けて用意する。 #デー…

シングルケース研究のグラフをRで描く

シングルケースデザインの研究は折れ線グラフをよく使いますが、そのグラフをRで描く方法を調べたのでその備忘録を。とりあえず仮想的なデータを作って見ます。指導のセッションの回数を重ねる毎に自傷行為の生起頻度がどう変化していったかのようなケースを…

ソーシャルストーリー概観論文

岡田信吾・大竹喜久・ 柳原正文 (2009). 発達障害児に対するソーシャルストーリー(TM)研究の概観. 岡山大学大学院教育学研究科研究集録, 141, 11–28.発達障害児に対するソーシャルストーリー(TM)研究の概観 - 岡山大学大学院教育学研究科研究集録 141巻 - 雑…

Boelt他『Autism Spectrum Conditions: FAQs on Autism, Asperger Syndrome and Atypical Autism Answered by International Experts』

Autism Spectrum Conditions: FAQs on Autism, Asperger Syndrome, and Atypical Autism Answered by International Experts作者: Sven Boelte,Joachim Hallmayer出版社/メーカー: Hogrefe Publishing発売日: 2013/09/04メディア: Kindle版この商品を含むブ…

ABA対TEACCH論文

ABA versus TEACCH: the case for defining and validating comprehensive treatment models in autism. - PubMed - NCBI自閉症への介入プログラムは様々あるが、それらの中でも有名なABAとTEACCHに焦点をあててそれらの社会的妥当性(social validity)を検討…

発達障害・特別支援教育関連の国際誌

発達障害・特別支援関係で興味のあるものをまとめてみます。 偏りがあるかもしれませんが、それは私の興味の偏りですので悪しからず。 随時追加していく予定です。(2017年5月7日現在9件) Focus on Autism and Other Developmental Disablities SAGE Jour…

ASD児へのPECSによる介入のメタ分析論文

Effectiveness of the Picture Exchange Communication System (PECS) on Communication and Speech for Children With Autism Spectrum Disorders: A Meta-Analysis | American Journal of Speech-Language Pathology | ASHA PublicationsPECSの効果につい…

グラフの視覚的な読み取りについて英語で言うと...

Focus on Autism and Developmental Disablitiesの最新号のabstractを流し読みしていたら、次のような書き方を見つける。 According to the visual analyses, students performed better with adapted and interactive video clips. Evmenova, Graff, Behrma…

多層プローブデザインについて

単一事例研究の中に多層プローブデザインというものがある。これは、多層ベースラインデザインの一種である。簡単に言えば、一つの層が介入条件にあるときには、介入をしない他の層では測定をしないデザインである。そして、新しい条件が加わえられる時点で…

南風原ほか編『心理学研究法入門』

心理学研究法入門―調査・実験から実践まで作者: 南風原朝和,下山晴彦,市川伸一出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2001/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (13件) を見る大変勉強になる本だった。調査、実験、実践と心理…

ある独立変数の影響を取り除く話

以前の記事、公立特別支援学校教員の平均勤続年齢と平均給与月額のグラフを描いた。散布図にラベルをつけて遊んでみる - 猫も杓子も構造化そこでは、平均勤続年数が長い都道府県ほど、平均月額給与が高いという至極当然の結果であった。 今回はその延長線の…