猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

筆記具の持ち方について

小学生の低学年では、「用具を正しく持つ」という内容が学習指導要領に明示されており、鉛筆の持ち方を指導する姿はどこの学校でも見られる。もちろん、その指導の丁寧さであったり力の入れ方は担任の先生のさじ加減であり、いくつもの学級を見ているとその差が見れて面白い。

ところで、正しい持ち方というのがどのような根拠に基づいているのか知らなかったので調べてみた。次の論文が丁寧にまとめている。

「望ましい筆記具の持ち方とその合理性および検証方法について」

juen.repo.nii.ac.jp

この論文では、「望ましい筆記具の持ち方」という概念を提案しながら、それら以外の持ち方は一体どういう問題に繋がるかを示している。大変勉強になる。

学級を見ていると、顔をノートに近づけすぎる児童がいて先生は顔をあげるように促す場面はよく見る。では児童がなぜ体を前傾させてしまうのか。その原因について考えを巡らす先生は多くないように感じる。

先に紹介した論文を読むと、持ち方によっては筆記具の先端が視線から隠れてしまい、筆記具の先端を確認するための対処の一つとして体の前傾による対応を行っていることなどが分かる。対処療法として頭を机から離すように言葉をかける代わりに、筆記具の先端が自然な姿勢で見えるよう持ち方の獲得が根本的な解決につながるだろう。

その他にも、児童の誤った書きの姿がなぜ生まれるのかについて、その原因が推測できるようになるので大変オススメできる論文である。