猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

調べたこと・考えたこと

ソーシャルストーリーとソーシャルナラティブ

ASDへの実践の文献を読んでいるとsocial narrativesという語によくあう。実践の内容や説明を見ているとソーシャル・ストーリーとほぼほぼ一緒なのだが、こっちの言われ方の方がよく見かける。で、何か違うのかと調べていたら次のようなサイトを見つける。the…

続・シングルケース研究のグラフをRで描く

昨日の記事では折れ線グラフに白線を重ねて一部の線を消すなんて面倒くさいことをしたのだけれど、よくよく考えれば最初からデータを分けて入力してプロットすればいいだけの話であった。データの準備の時点でフェイズごとにデータを分けて用意する。 #デー…

シングルケース研究のグラフをRで描く

シングルケースデザインの研究は折れ線グラフをよく使いますが、そのグラフをRで描く方法を調べたのでその備忘録を。とりあえず仮想的なデータを作って見ます。指導のセッションの回数を重ねる毎に自傷行為の生起頻度がどう変化していったかのようなケースを…

発達障害・特別支援教育関連の国際誌

発達障害・特別支援関係で興味のあるものをまとめてみます。 偏りがあるかもしれませんが、それは私の興味の偏りですので悪しからず。 随時追加していく予定です。(2017年5月7日現在9件) Focus on Autism and Other Developmental Disablities SAGE Jour…

多層プローブデザインについて

単一事例研究の中に多層プローブデザインというものがある。これは、多層ベースラインデザインの一種である。簡単に言えば、一つの層が介入条件にあるときには、介入をしない他の層では測定をしないデザインである。そして、新しい条件が加わえられる時点で…

ある独立変数の影響を取り除く話

以前の記事、公立特別支援学校教員の平均勤続年齢と平均給与月額のグラフを描いた。散布図にラベルをつけて遊んでみる - 猫も杓子も構造化そこでは、平均勤続年数が長い都道府県ほど、平均月額給与が高いという至極当然の結果であった。 今回はその延長線の…

散布図にラベルをつけて遊んでみる

意味はよく分からないけどグラフを描いてみようのコーナー。せっかくRについて入門したのだから適当なデータを適当にグラフにしてみるだけして遊んでみます。そのグラフが何を意味するのか等はとりあえず置いておいて。今回使うデータはこれ。平成25年度実…

アセスメントの実施と情報量の増減

アセスメントによって数字が出ると何か情報量が増えたような気持ちがしてくる。ところが実際の情報量としては減っているんじゃないかとかそんな話。フォーマルアセスメントを実施すると言語理解指標が90だの、プランニング得点が115だの数値が出てくる。でも…

S-M社会生活能力検査の用途

前回の記事と同じシリーズ。nekomosyakushimo.hatenablog.com今度はS-M社会生活能力検査で調べてみた。S-M社会生活能力検査の活用と事例 ‐社会適応性の支援に活かすアセスメント‐作者: 旭出学園教育研究所出版社/メーカー: 日本文化科学社発売日: 2015/01/30…

TTAPの用途

アセスメントの用途に関心を持っている。昔大学生だった頃に受けた言語テスト(language assessment)についての授業で、テストの有用性はテストそのものの特性だけでは決めることができず、テストを使う目的や具体的な状況などに左右されるということを教わ…

機能主義と観察の時間的な幅について

年賀状の代わりに、ぐだぐだとまとまりのない考え事をお送りいたします。今年もよろしくお願いします。WISCの下位検査に「積木模様」というものがある。所定の数の積み木を組み合わせて、示されたお手本と同じになるように積木を構成する課題である。簡単な…

答申を読む

学習指導要領について、中教審の答申が公表されたのでざっと読んで気になったところだけ抜粋。幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号):文部科学省 各部間での円滑な接…

クイックルワイパーでABAする

ABA(応用行動分析)的に考えて自分のQOLを上げようのコーナー。ABAでは、望ましい行動を起こりやすくするには結果事象を操作するだけでなく、先行条件を整えることも大事だと言われています。先行条件の操作の一つに「望ましい行動の反応努力を減らす」とい…

単一事例研究法の一般化について

※自分の中でも全然整理されていないのですが、そのままアップします。単一事例による研究の結果をどの程度一般化した結果として解釈して良いかについて考えている。例えば、ある指導法Aの効果が知りたくて、タロウさんを対象にデータをとるとする。ここで、…

物理的構造化と活動の遂行

ここのところの物理的構造化について考える機会が多い。以前は、活動の意味理解みたいな点が物理的構造化の肝だと考えていた。つまり、ASDの人にとって「ここは〇〇をやる場所なんだ」というのが理解できるようにすれば良いと思っていた。しかし、意味が理解…

テストの妥当性とか

togetter.comtogetter.comネット上の議論を見て思ったことを自分の関心に結びつけ我田引水的に書いてみようのコーナー。議論の概要をざっくりと書くと、鶴亀算を習ったあとの算数のテストで、連立方程式を使って答えを出したら✕がつけられたことから議論が始…

WISC-Vについて:WISC-IVからの変更点など

アメリカでWISC-Vが2014年に出版されたことは知っていたが、何がどう変わったかについては知らなかったので調べてみた。参考としたのはこれらのスライド。 http://c.ymcdn.com/sites/www.tpaonline.org/resource/resmgr/Session132WISCVHandout.pdf http://d…

多層指導モデルMIMについて

少し前に多層指導モデルMIM(Multilayer Instruction Model)の研修を受けてきた。前々から良いモデルだと思っていたけれども、やっぱり良いモデルなのを再確認したので紹介しておきたい。まず、MIMってなんぞや?って人は以下のリンク先を見ると良い。forum…

24時間テレビの障害者企画における障害種

24時間テレビのシーズンですね。我が家にはテレビが無いのであまり関係ないのですが。ネット上で娯楽なのかチャリティなのかはっきりせずモヤモヤすると言われたりするこの番組。 24時間テレビという「あやふやなもの」 - あれこれやそれこれ番組内で障害者…

「空気読めない」って言わない

標題のとおりなのだけど、仕事とかをするにあたって「Aさんって空気を読めない」というようなことを言わないように心がけている。「Aさんって空気読めない」って発言は、Aさんの発言なり行動なりが話者が思う適切なものとずれていたときになされているのだろ…

国際生活機能分類(ICF)について調べてみた

調べたことを書いてみようのコーナー。今回は、特別支援教育関係の色々な本に出てくるけど、いまいちよく分かっていなかった「国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)」について。 この図で有名なやつ…

死人テストあれこれ

調べたことを書いてみようのコーナー。行動分析で使われる「死人テスト(Dead-man test)」。考えたのはLindsleyという研究者で1965年が初出らしい。どういった経緯でこの考え方が出てきたかなど調べるため原典をあたろうと思ったのですが、なかなか見つから…

物理的構造化と活動の意味

自閉症児(者)の支援をする際に、活動場所と活動を1対1対応させると良いと言われる。いわゆる「物理的構造化」というやつだ。でも、ただ対応されれば良いわけではない。というのも、場所と活動をいくら対応させたところで、その活動が自閉症児(者)にとっ…

標本抽出の方法とかについて

調べたことを書いてみようのコーナー。特別支援界隈だと有名な「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」。発達障害の疑いがある児童・生徒は、2002年の調査だと6.3%だったものが、2012…

「次へ。次へ。」と進む前に

"TEACCH Structured Teaching Assessment: Guides to Individualizing the Schedule and the Work System"という本がある。ノースカロライナ大学のTEACCH部が出しているもので20ページにもみたない薄い本なのだが、TEACCH部で研修を受けた人が自分の実践の…

視覚的情報のランク的イメージはどこから?

構造化関連で調べごとをしていたら次のような記事を見つけた。bouzan-note.com記事の中にこんな記述がある。 多くの人がイメージしている雰囲気として、具体物よりも写真の方がランク(レベル)が上写真よりも文字や文章がランク(レベル)が上 ということで…

自動詞と他動詞を意識しての報告って大事?

はてなブックマークで知った以下の記事。www.yukihy.comまず記事の要旨としては、子どもが何かをしてしまった際に、「モップが壊れました」のように自動詞で報告させるのでなく「モップを壊しました」のように他動詞で報告させるようにすると反省しやすくな…

学習障害(LD)と限局性学習症(SLD)はどう違うのか

ブログに来る人の検索ワードを見ると、学習障害(以下LD)と限局性学習症/限局性学習障害(以下SLD)の違いについて知りたい人が多いようで、自分自身も何がどう変わったかについてよく分かっていなかったところがあるので、調べたことを書いてみる。毎度の…

総論っていうのであれば

少し前のこととなるが、某機関が主催している研修を受けてきた。内容は、特別支援教育におけるアセスメントについての総論で、アセスメントの役割であったり、よく使われるアセスメントについて浅く広く紹介するというようなものであった。講師を務めていた…

発達障害と名称について

家に届いた『LD研究』にあった記述から、気になったので調べたことのメモ。 神経発達症群とは2013年にアメリカ精神医学会から新しく発表された、精神疾患の分類と診断の手引第5版(DSM-5)の中で、SLD・ADHD・ASDを含む8項目をまとめた呼称である。今後、発…