猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。ブログ名にあまり意味はありません。

行動カスプとは何か

応用行動分析学(ABA)のマイナー用語を調べてみようのコーナー。今回取り上げるのは行動カスプ(behavioral cusp)。カスプとは先端とかとがった部分という意味です。この概念の提唱者はRosales-RuizとBaerという研究者で、1996年だとか1997年だとかがおそ…

小倉晶男『福祉を変える経営ー障害者の月給1万円からの脱出ー』

福祉を変える経営~障害者の月給1万円からの脱出作者: 小倉昌男出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2003/10/09メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 84回この商品を含むブログ (21件) を見る著者の小倉さんは、クロネコヤマトで有名なヤマト運輸の元会長で、会…

ABAと用語の誤用

以前の記事でも似たようなことを書いたが、最近ABA関連でまた誤用に出会った。ABAにおける「ABABデザイン」という言葉が、「ベースラインに後続して介入条件Aと介入条件Bを繰り返す実験デザイン」だと勘違いされていた。ABAの適当な教科書を参照すればすぐに…

エクスクルーシブなインクルージョン

イギリス特別なニーズ教育の新たな視点作者: メアリー・ウォーノック,ブラーム・ノーウィッチ,ロレラ・テルジ,宮内久絵,青柳まゆみ,鳥山由子出版社/メーカー: ジアース教育新社発売日: 2012/03/15メディア: 単行本この商品を含むブログを見る必要があってこ…

正の強化・負の強化という言い方をやめにしよう

表題の通りの主張です。代わりに「好子出現の強化」「嫌子消失の強化」を使うと良いと思う。なぜこんなことを思ったのかと言うと、先日「行動分析の専門家」を自称する人が負の強化を誤った用法で解説しているのを聞いたからである。その人はストーカーを例…

ソーシャルストーリーとソーシャルナラティブ

ASDへの実践の文献を読んでいるとsocial narrativesという語によくあう。実践の内容や説明を見ているとソーシャル・ストーリーとほぼほぼ一緒なのだが、こっちの言われ方の方がよく見かける。で、何か違うのかと調べていたら次のようなサイトを見つける。the…

続・シングルケース研究のグラフをRで描く

昨日の記事では折れ線グラフに白線を重ねて一部の線を消すなんて面倒くさいことをしたのだけれど、よくよく考えれば最初からデータを分けて入力してプロットすればいいだけの話であった。データの準備の時点でフェイズごとにデータを分けて用意する。 #デー…

シングルケース研究のグラフをRで描く

シングルケースデザインの研究は折れ線グラフをよく使いますが、そのグラフをRで描く方法を調べたのでその備忘録を。とりあえず仮想的なデータを作って見ます。指導のセッションの回数を重ねる毎に自傷行為の生起頻度がどう変化していったかのようなケースを…

ソーシャルストーリー概観論文

岡田信吾・大竹喜久・ 柳原正文 (2009). 発達障害児に対するソーシャルストーリー(TM)研究の概観. 岡山大学大学院教育学研究科研究集録, 141, 11–28.発達障害児に対するソーシャルストーリー(TM)研究の概観 - 岡山大学大学院教育学研究科研究集録 141巻 - 雑…

Boelt他『Autism Spectrum Conditions: FAQs on Autism, Asperger Syndrome and Atypical Autism Answered by International Experts』

Autism Spectrum Conditions: FAQs on Autism, Asperger Syndrome, and Atypical Autism Answered by International Experts作者: Sven Boelte,Joachim Hallmayer出版社/メーカー: Hogrefe Publishing発売日: 2013/09/04メディア: Kindle版この商品を含むブ…

ABA対TEACCH論文

ABA versus TEACCH: the case for defining and validating comprehensive treatment models in autism. - PubMed - NCBI自閉症への介入プログラムは様々あるが、それらの中でも有名なABAとTEACCHに焦点をあててそれらの社会的妥当性(social validity)を検討…

発達障害・特別支援教育関連の国際誌

発達障害・特別支援関係で興味のあるものをまとめてみます。 偏りがあるかもしれませんが、それは私の興味の偏りですので悪しからず。 随時追加していく予定です。(2017年5月7日現在9件) Focus on Autism and Other Developmental Disablities SAGE Jour…

ASD児へのPECSによる介入のメタ分析論文

Effectiveness of the Picture Exchange Communication System (PECS) on Communication and Speech for Children With Autism Spectrum Disorders: A Meta-Analysis | American Journal of Speech-Language Pathology | ASHA PublicationsPECSの効果につい…

グラフの視覚的な読み取りについて英語で言うと...

Focus on Autism and Developmental Disablitiesの最新号のabstractを流し読みしていたら、次のような書き方を見つける。 According to the visual analyses, students performed better with adapted and interactive video clips. Evmenova, Graff, Behrma…

多層プローブデザインについて

単一事例研究の中に多層プローブデザインというものがある。これは、多層ベースラインデザインの一種である。簡単に言えば、一つの層が介入条件にあるときには、介入をしない他の層では測定をしないデザインである。そして、新しい条件が加わえられる時点で…

南風原ほか編『心理学研究法入門』

心理学研究法入門―調査・実験から実践まで作者: 南風原朝和,下山晴彦,市川伸一出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2001/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (13件) を見る大変勉強になる本だった。調査、実験、実践と心理…

ある独立変数の影響を取り除く話

以前の記事、公立特別支援学校教員の平均勤続年齢と平均給与月額のグラフを描いた。散布図にラベルをつけて遊んでみる - 猫も杓子も構造化そこでは、平均勤続年数が長い都道府県ほど、平均月額給与が高いという至極当然の結果であった。 今回はその延長線の…

佐藤暁『発達障害のある子の困り感に寄り添う支援』

発達障害のある子の困り感に寄り添う支援 (学研のヒューマンケアブックス)作者: 佐藤暁出版社/メーカー: 学習研究社発売日: 2004/08/24メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る同じ著者の『自閉症児の困り感に寄り添う支援』がとっ…

散布図にラベルをつけて遊んでみる

意味はよく分からないけどグラフを描いてみようのコーナー。せっかくRについて入門したのだから適当なデータを適当にグラフにしてみるだけして遊んでみます。そのグラフが何を意味するのか等はとりあえず置いておいて。今回使うデータはこれ。平成25年度実…

RTIの解説論文

Fuchs, D., & Fuchs, L. S. (2006). Introduction to Response to Intervention: What, why, and how valid is it? Reading Research Quarterly, 41, 93-99.Introduction to response to intervention: What, why, and how valid is it? - FUCHS - 2006 - Re…

『Rによるやさしい統計学』の感想及びサンプルデータ

Rによるやさしい統計学作者: 山田剛史,杉澤武俊,村井潤一郎出版社/メーカー: オーム社発売日: 2008/01/25メディア: 単行本購入: 64人 クリック: 782回この商品を含むブログ (68件) を見る 『Rによるやさしい統計学』を一通り読み終えた。Rという言語そのもの…

動く三角形のアニメーション

フリスによる『自閉症の謎を解き明かす 新訂版』(東京書籍)の11章に脳画像研究についての概説がある。新訂 自閉症の謎を解き明かす作者: ウタフリス,冨田真紀,清水康夫,鈴木玲子出版社/メーカー: 東京書籍発売日: 2009/02/18メディア: ハードカバー クリッ…

心理検査の標準化とサンプル数

服部 環, 藤田 和弘, 石隈 利紀, 青山 眞二, 熊谷 恵子, 小野 純平(2014).日本版KABC-IIの尺度構成と標準化. 日本教育心理学会総会発表論文集 (56), 276, 2014-10-26CiNii 論文 - PB023 日本版KABC-IIの尺度構成と標準化(測定・評価・研究法,ポスター発表B)…

山田剛史他『Rによるやさしい統計学』

Rによるやさしい統計学作者: 山田剛史,杉澤武俊,村井潤一郎出版社/メーカー: オーム社発売日: 2008/01/25メディア: 単行本購入: 64人 クリック: 782回この商品を含むブログ (68件) を見る最近この本を読んでいるがとても良い。特に、標本分布などを実際にデ…

アメリカ知的発達障害学会

アメリカ知的発達障害学会(と訳すのかは知らないけどAAIDD)のホームページを見ていると、色んな研究があるんだなぁと勉強になる。無料で見れる記事やら講義やらがとても充実している。aaidd.org

旭出学園教育研究所編『S-M社会生活能力検査の活用と事例-社会適応性の支援に活かすアセスメント』

S-M社会生活能力検査の活用と事例 ‐社会適応性の支援に活かすアセスメント‐作者: 旭出学園教育研究所出版社/メーカー: 日本文化科学社発売日: 2015/01/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見るまず印象に残ったことは、この検査から分かることはあくま…

TTAP副読本を読む(続き)

前回の記事の続き。nekomosyakushimo.hatenablog.com 後半の事例と解説を読んだメモ。【事例7】 特別支援学校での移行支援への活用。主に対人関係面のソフトスキルを指導している。DACを作業学習内に取り入れている例が紹介されている。文字ベースの手順表や…

梅永雄二・服巻智子 著/監修『副読本:TTAP 自閉症スペクトラムの移行アセスメントプロフィールTTAPの実際』

TTAPの研修会に行った時に買った『副読本:TTAP 自閉症スペクトラムの移行アセスメントプロフィールTTAPの実際』を読んでいる。国内での実践事例をまとめた本だ。ブックストア フロム・ア・ヴィレッジ最初にTTAPの概要についての紹介がごくごく簡単にされて…

アセスメントの実施と情報量の増減

アセスメントによって数字が出ると何か情報量が増えたような気持ちがしてくる。ところが実際の情報量としては減っているんじゃないかとかそんな話。フォーマルアセスメントを実施すると言語理解指標が90だの、プランニング得点が115だの数値が出てくる。でも…

S-M社会生活能力検査の用途

前回の記事と同じシリーズ。nekomosyakushimo.hatenablog.com今度はS-M社会生活能力検査で調べてみた。S-M社会生活能力検査の活用と事例 ‐社会適応性の支援に活かすアセスメント‐作者: 旭出学園教育研究所出版社/メーカー: 日本文化科学社発売日: 2015/01/30…

TTAPの用途

アセスメントの用途に関心を持っている。昔大学生だった頃に受けた言語テスト(language assessment)についての授業で、テストの有用性はテストそのものの特性だけでは決めることができず、テストを使う目的や具体的な状況などに左右されるということを教わ…

機能主義と観察の時間的な幅について

年賀状の代わりに、ぐだぐだとまとまりのない考え事をお送りいたします。今年もよろしくお願いします。WISCの下位検査に「積木模様」というものがある。所定の数の積み木を組み合わせて、示されたお手本と同じになるように積木を構成する課題である。簡単な…

猫も杓子も今年の3冊【2016年】

年の瀬なので今年読んだ本で良かったものを紹介します。ちなみに、昨年の記事はこちら。nekomosyakushimo.hatenablog.com 今年は昨年に比べるとあまり本を読むことができなかったです。今までに学んだことを、実践してみたり、それを人に伝わりやすいように…

答申を読む

学習指導要領について、中教審の答申が公表されたのでざっと読んで気になったところだけ抜粋。幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号):文部科学省 各部間での円滑な接…

坂爪一幸『特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門』

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門 (ヒューマンケアブックス)作者: 坂爪一幸出版社/メーカー: 学研プラス発売日: 2012/03/15メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る今まで避けてきた脳機能関連について入門したいと思い読んだ。高次脳機能障…

クイックルワイパーでABAする

ABA(応用行動分析)的に考えて自分のQOLを上げようのコーナー。ABAでは、望ましい行動を起こりやすくするには結果事象を操作するだけでなく、先行条件を整えることも大事だと言われています。先行条件の操作の一つに「望ましい行動の反応努力を減らす」とい…

単一事例研究法の一般化について

※自分の中でも全然整理されていないのですが、そのままアップします。単一事例による研究の結果をどの程度一般化した結果として解釈して良いかについて考えている。例えば、ある指導法Aの効果が知りたくて、タロウさんを対象にデータをとるとする。ここで、…

物理的構造化と活動の遂行

ここのところの物理的構造化について考える機会が多い。以前は、活動の意味理解みたいな点が物理的構造化の肝だと考えていた。つまり、ASDの人にとって「ここは〇〇をやる場所なんだ」というのが理解できるようにすれば良いと思っていた。しかし、意味が理解…

プログレス・モニタリングの妥当性の検証について

海津先生の書いた次の論文を読んでいる。海津 亜希子(2016). 算数につまずく可能性のある児童の早期把握 ― MIM-PM算数版の開発 ― 教育心理学研究,64, 244-255.算数につまずく可能性のある児童の早期把握 「算数版のMIM-PMを作って、その妥当性と独自性を確か…

冬用のバイクグローブを買ってみた

以前、原付に乗っていた時は、コミネの安いハンドルカバーに適当な手袋で冬は何も困りませんでした。セローに乗り換えてからはハンドルカバーをつけるのが嫌だというのもあり、冬用のグローブが重要だなぁと感じていました。で、夏用と同じようにバイク用品…

テストの妥当性とか

togetter.comtogetter.comネット上の議論を見て思ったことを自分の関心に結びつけ我田引水的に書いてみようのコーナー。議論の概要をざっくりと書くと、鶴亀算を習ったあとの算数のテストで、連立方程式を使って答えを出したら✕がつけられたことから議論が始…

小島寛之『完全独習 統計学入門』

完全独習 統計学入門作者: 小島寛之出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2006/09/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 215人 クリック: 3,105回この商品を含むブログ (115件) を見る昔にも一度読んだ本だが、統計的なことに片足を突っ込まなければ…

TTAP研修会

先日、フロム・ア・ヴィレッジ主催のTTAPの研修会を早稲田大学で受けてきた。講師は梅永先生。本当は服巻先生も一緒に講師をされる予定だったのだが、骨折をしているらしく来れないのだそうだ。TTAPとはTEACCH Transition Assessment Profileの略で日本では…

前川久男・梅永雄二・中山健編『発達障害の理解と支援のためのアセスメント』

発達障害の理解と支援のためのアセスメント作者: 前川久男,梅永雄二,中山健出版社/メーカー: 日本文化科学社発売日: 2013/03/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る目次を見て、発達障害支援の界隈で使われている様々なアセスメントの概要をさらっと…

WISC-Vについて:WISC-IVからの変更点など

アメリカでWISC-Vが2014年に出版されたことは知っていたが、何がどう変わったかについては知らなかったので調べてみた。参考としたのはこれらのスライド。 http://c.ymcdn.com/sites/www.tpaonline.org/resource/resmgr/Session132WISCVHandout.pdf http://d…

杉山登志郎編著『アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート』

アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート―よりよいソーシャルスキルが身につく (学研のヒューマンケアブックス)作者: 杉山登志郎出版社/メーカー: 学習研究社発売日: 2002/12メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 33回この商品を含むブログ (5件) …

ナグリエリ・ピカリング『DN-CASによる子どもの学習支援―PASS理論を指導に活かす49のアイデア―』

DN‐CASによる子どもの学習支援―PASS理論を指導に活かす49のアイデア作者: J.A.ナグリエリ,E.B.ピカリング,前川久男,中山健,岡崎慎治出版社/メーカー: 日本文化科学社発売日: 2010/12/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (1件) …

多層指導モデルMIMについて

少し前に多層指導モデルMIM(Multilayer Instruction Model)の研修を受けてきた。前々から良いモデルだと思っていたけれども、やっぱり良いモデルなのを再確認したので紹介しておきたい。まず、MIMってなんぞや?って人は以下のリンク先を見ると良い。forum…

Finn Comfort MILANO

革靴が結構好きです。安くもないけど高級靴でもない程度の靴を休日にせっせと磨くのはかなり楽しいです。健康的でない趣味だとは言われますが。結構前に、シューフィッターがいる店で足の正確なサイズを測ってもらったのですが、どうやらわたしの足は薄くて…

24時間テレビの障害者企画における障害種

24時間テレビのシーズンですね。我が家にはテレビが無いのであまり関係ないのですが。ネット上で娯楽なのかチャリティなのかはっきりせずモヤモヤすると言われたりするこの番組。 24時間テレビという「あやふやなもの」 - あれこれやそれこれ番組内で障害者…