猫も杓子も構造化

発達障害、特別支援などについて書いています。最近は心理学関係の内容が多めです。

ASDの視覚処理研究は母集団を適切に代表しているのか

Frontiers | Vision Research Literature May Not Represent the Full Intellectual Range of Autism Spectrum Disorder | Frontiers in Human Neuroscience 今までに行われてきたASDの視覚処理研究の研究参加者の属性についてIQの観点から検討した論文。い…

佐々木正人『新板アフォーダンス』

新版 アフォーダンス (岩波科学ライブラリー)作者: 佐々木正人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/01/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見るギブソンにも入門する必要があり読んだ。理論の解説のみでなく、ギブソンの人…

坂上裕子ほか『問いからはじめる発達心理学』

問いからはじめる発達心理学 生涯にわたる育ちの科学 (有斐閣ストゥディア) [ 坂上裕子 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 心理学 > 心理学ショップ: 楽天ブックス価格: 1,944円読んだ。自分が心理学周辺の知識を知らなすぎて困っ…

Spearman(1904)のメモ

"General Intelligence," Objectively Determined and Measured on JSTOR長い。90ページもあるのはやめてほしい。全ての知的活動の根底にあるg因子を発見したということで知能の二因子論の始まりとなる論文なわけだが、この時点ではまだg因子という言葉は使…

ASDと心の理論と

先日の記事で「心の理論」のチンパンジーを対象とした元論文について書いた。nekomosyakushimo.hatenablog.com書いている中で、そういえば私はバロンコーエンのオリジナルも読んだことが無かったことに気がついたのでそれにも目を通してみることにした。Does…

チンパンジーと心の理論と

ASD児者が心の理論に障害を持っているという仮説は、イギリスのバロンコーエンが最初に提唱したものである。少し詳しい人であれば、この心の理論というのは最初は、霊長類研究者であるプレマックとウッドルフがチンパンジーについて検討したものだということ…

3つ組はセットで考えるべきか

link.springer.comASDを考えるときに有名な三つ組(triad)というものがある。これは、社会性、コミュニケーション、想像力の3つの症状からASDを考えましょうと、イギリスの児童精神科医のウィングが提唱したものである。この三つ組を考えるとき、これらが…

女性のASD当事者の障害を見えにくくする要因

自閉症スペクトラム障害の女性は診断に至るまでにどのように生きてきたのか:障害を見えにくくする要因と適応過程に焦点を当てて読んだ。女性ASD当事者へのインタビューをもとに、ASDの障害を見えにくくする社会環境的要因を明らかにし、その中で当事者がど…

猫も杓子も今年の3冊【2017年】

昨年、一昨年とやっているので今年も良かった本の紹介を。【昨年までの記事】 猫も杓子も今年の3冊【2016年】 - 猫も杓子も構造化 猫も杓子も今年の3冊【2015年】 - 猫も杓子も構造化 今年は自分の身分的なところにそれなりの変化があり、本を読む時間は昨…

信頼区間について

真値は不変、区間が確率的に変動。 真値は不変、区間が確率的に変動。 真値は不変、区間が確率的に変動。みなさん、1日10回音読しましょう 特に人に説明する立場にあるひt・・・うわなんだおまえやめくぁwせdrftgyふじこlp【参考】 信頼区間についてよくある誤…

小貫悟・桂聖『授業のユニバーサルデザイン入門』

授業のユニバーサルデザイン入門 (授業のUD Books)作者: 小貫悟,桂聖出版社/メーカー: 東洋館出版社発売日: 2014/04/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る仕事の都合で読んだ。以前紹介したUDL(学びのユニバーサルデザイン)とは別物である。こっ…

続・クロンバックのα

前回の記事で全ての折半法の平均がクロンバックのαであるということについて書いた。nekomosyakushimo.hatenablog.com 今回は、内的整合性の意味をより理解するためにデータをいじって遊んでみる。内的整合性とは乱暴に言えば、テストの中の項目がどれだけ同…

クロンバックのαについて

友人からクロンバックのαについて質問を受けてあれこれ調べたことの記録。クロンバックのαとは信頼性係数の一つで内的整合性を表すものだとされている。テキストなどには信頼性係数の推定には(1)再テスト法、(2)平行テスト法、(3)内的整合性などがある…

Pythonの環境整理

色々な記事を参考にパッチワークのようにしていじっていたら、バージョン違いのPythonのどこに何が入っているのか訳が分からなくなったので整理することにした。その覚え書き。そもそも、今のところ自分に必要なのは、実験をプログラミングするための2系のpy…

Python版OpenCVによるpng画像と透過処理について

必要があって画像処理の技術に入門している。その覚書。 (出所:いらすとや)このタヌキが今回の実験台である。かわいい。opencvを使って画像を読み込む際はimreadを使う。 # coding:utf-8 import cv2 import numpy as np src = "test.png" img = cv2.imrea…

今まで読んできた統計本・数学本

今年は統計ネタの記事が多くなってきたので、記事を描く際に参考にしている本をまとめて紹介します。数学本も一緒に紹介するのは、統計関連の本を読む際に、数学が全然分からなくて勉強しなおした関係です。ただ並べるだけだとあれなので主観的なオススメ度…

バイク用ブーツカバーを買ってみた

ここのところ雨が多かった。わたしは平日はほぼ毎日バイクに乗る必要がある。となると防水対策をしないとQOLの低下は免れない。ワークマンで昔買ったレインウェアはまだ防水性能を保っている。しかし、防水だったはずの靴に関してはもはやその機能が失われて…

川上康則編『通常学級でできる発達障害のある子の学習支援』

通常学級でできる発達障害のある子の学習支援 (特別支援教育がわかる本)作者: 内山登紀夫,川上康則出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2015/04/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る久々に臨床的なものの紹介でも。オールカラ…

UDLについてのアレコレ

(追記:なぜか「学びのUDL」と書いていましたがそれじゃlearningが重複していましたね。正しくはUDLもしくは学びのユニバーサルデザインです。)UDLという言葉がある。これはUniversal Design for Learning の訳語で、その意味するところを簡単に書くなら、…

Pythonでお絵かき(エビングハウス錯視編)

以前にPythonでカフェウォール錯視の画像を作った。nekomosyakushimo.hatenablog.com今回はカフェウォール錯視に続いてもう少し複雑な感じのお絵かきを試みる。錯視界隈では有名なエビングハウス錯視でいってみよう。エビングハウスが何だか分からない人はWi…

世論調査と誤差

NHKの世論調査で各党の支持率が公表されていた。www3.nhk.or.jpNHKのサイトによれば、NHKの世論調査の標本サイズは3600人だそうである。世論調査の手順 - 調査相手の抽出 | NHK放送文化研究所3600人の抽出調査に対して誤差の範囲が次のように紹介されている…

日本版WISC-Vは今

ブログへのアクセスを見ると、WISC-Vの動向が気になる人が多いようで、英語で書かれた資料をまとめた次のページへのアクセスが多い。nekomosyakushimo.hatenablog.com 日本語版の開発状況がどうなっているのかというと日本文化科学社のサイトに次のようなペ…

LD学会所感

10月7日から9日の間に宇都宮で開催されたLD学会に参加してきた。きれいなまとめや読者に有益なまとめなどは目指さず(というか私には出来ませんし)、拡散した思考を書き散らかしておく。親の会のシンポ、ローラクリンガー先生による特別公演、内山先生によ…

必要なサンプルサイズの大きさは(実験編)

前回の記事で、調査を行い母集団における比率を求める際に、誤差を任意の範囲内に収めるための計算について書いた。比率については、 の式の、Eの部分に収めたい範囲の誤差を代入すると求まることが分かった。式の上では理論的に求まったものの本当にこれで…

必要なサンプルサイズの大きさは

先日社会調査に関連した話の中で、「完全に無作為抽出が達成されてたとしたらサンプルサイズがどれくらい必要か」についての話になった。「今の首相を支持するかどうか」のようなシンプルな比率の調査をする際にどれくらいのサンプルの大きさがあれば信頼に…

バイスプライヤーすごい(セローのエンジンオイル交換に伴うアレコレ)

セローのエンジンオイルを交換したのですが、そのとき想定外に手間取ったことに関するメモ。手順は下記のサイトを参考にしました。セロー250メンテナンス オイル交換方法 | セロー250でバイク旅ただオイルを抜いて入れるだけの話なので難しいこともないはず…

二項分布の4次のモーメントの導出

前回までで3次のモーメントをやったんだから次は4次だろう(安易)。nekomosyakushimo.hatenablog.com nekomosyakushimo.hatenablog.com 原点まわりのモーメントの導出 まず、モーメント母関数を3回微分したのものがこちら。 これを、(大変に面倒くさいけど…

続・二項分布の3次のモーメント

前回の記事で、モーメント母関数を用いた二項分布の3次のモーメントの導出について書いた。今回は、二項分布から抽出したデータの分布を実際に見ながら3次のモーメントと分布の形にについてみてみる。Rのデフォルトの関数には、歪度を計算するものはないらし…

二項分布の3次のモーメント

統計学の教科書において確率分布を紹介するときに2次のモーメントまでしか載っていないことが多い。モーメント母関数を用いれば、何次のモーメントでも求めることができるので、何の役に立つかは分からないが、ここでは二項分布の3次のモーメントを求めてみ…

モーメントについて

モーメントについての学習メモ。モーメント(積率)という概念がある。これは、確率分布の性質のうちのいくつかを数値で表したものである。平均値や分散というのもモーメントの一種である。離散値をとる確率変数について、その確率分布をとしたときに、の期…